『新学習指導要領が改訂される背景として「学力低下」をめぐる論争が考えられる。「学力とは何か」について論じなさい。』
学力とは、おもに教科学習によってどれだけ知識を習得しているかを示すバロメーターである。
平成10年の学習指導要領改訂において、教育課程審議会は学力観を単なる知識の多寡でとらえるのではなく、自分自身で学び考えることができるか否かへと転換させている。しかし、そのために「基礎・基本の確実な習得」を徹底して行うべきともしているのである。
今の児童は繰り返しの学習をあまりしないために、すべての学習の土台となる「読む・書く・聞く・話す・計算する」といった基礎学力が低下しているといわれている。基礎学力を培うためには、知識の定着を図るための「学習時間」を必要とするが、新学習指導要領が理想とした「ゆとり教育」は、結果として子どもたちから「学習時間」を奪うという皮肉な結果となり、「学力低下」を引き起こすきっかけとなったのではないかという指摘がある。
学習指導要領の変遷をみると、時代にふさわしい教育とは何か、また、子どもたちに求められる授業の在り方とは何か、といった教育の本質にかかわる問題...