P6302 米文学史
『エドガー・アラン・ポーとマーク・トウェインについて述べよ』
Ⅰ.エドガー・アラン・ポー
Edgar Allan Poe(1809-1849)の短い生涯は波乱に満ちたものであるが彼は、短編小説、詩、評論の三つの分野において多くの作品を創作した。
<短編小説>
彼の短編小説はだいたい3種類に分けられ(1)恐怖をねらったもの、(2)美的または詩的なもの、(3)推理ものである。(1)の代表作は『アッシャー家の崩壊』(The Fall of the House of Usher,1839)、『黒猫』(The Black Cat,1843)である。『アッシャー家の崩壊』は現実と幻想の交錯する中で、恐怖の効果を狙った作品である。『黒猫』は荒んでいく人間の心理をグロテスクな黒猫の姿に象徴し良心の悩みや恐怖を描こうとしたものである。ポーの作品には日常的な境界が曖昧になり、崩されて侵犯されていく作品が多い。(2)の代表作は「沈黙」(Silence,1838),「影」(Shadow,1835),「赤死病の仮面」(The Masque of the Red Death,1842)など。