エミール・デュルケムの学問的性格をまとめる
デュルケムは1858年4月15日にフランスロレーヌ地方のエビナルで、フランス系ユダヤ人の家系に生まれる。 パリの高等師範学校で学んだ後の1882年にリセ大学で哲学教授に就任する。その後ドイツに留学し、実証的社会科学の方法を学び、1887年にはボルドー大学の職につく。そこで1893年に『社会分業論』を1897年に『自殺論』を発表し、名声を得ていく。
1902年にパリ大学の文学部教育科学講師に就任すると、教育や道徳を中心とした研究を行うようになり、1913年には「教育科学と社会学」講義を担当し、教育社会学や宗教社会学の基礎を確立した。
第一次世界大戦で息子を失ったデュルケムは研究を続ける意欲を失い1917年5月にパリ大学の講義を中止。その半年後59歳でこの世を去った。以下、代表的な著書から彼の学問的性格を探っていく。
『社会分業論』
デュルケムは1893年に出版した著書の中で、社会学を「道徳科学」と位置づけ、諸個人の統合を促す社会的要因としての道徳の役割を解明することであると考えた。その後『社会学的方法の規準』において、社会学の分析対象は「社...