秦の天下統一の意義
中国史最初の皇帝となった秦の政(前259~前210)が中国を統一したのは紀元前221年。誰もが知っている出来事である。また、秦はその後の中国の王朝や国政の礎を築いたことでも有名である。しかし、あの大きな中国を統一したにもかかわらず、たったの15年で滅びてしまう。統一までに何十年とかけて内政を整え、他国を打ち破ってきたにもかかわらず、その栄華はほんのつかの間であった。では、いったいどのようにして秦は中国を統一するにいたったのか。そして、なぜ15年で滅びてしまったのか、という2つの大きな問題を紐解きながら、秦の天下統一の意義を考えていくことにする。
秦は紀元前770年ごろ周の東遷に際して王室を護衛した功績によって、現在の甘粛省の朧南市以西を領土として与えられ国を興していたといわれている。当時の中国は周から春秋時代への変わり目でもあった。春秋五覇の一人に数えられることもある九代目君主の穆公(前659~前621)が戎を討伐し中国西部の覇者となると、周辺小国を次々に支配していき戦国時代へ入る。この時代は七雄と呼ばれる魏、韓、趙、楚、燕、斉、秦が中国統一を目指してしのぎを削っ...