絶対主義とよばれる近世ヨーロッパの国家と社会のありかたをフランスを中心に検討せよ
絶対主義といわれる近世ヨーロッパの国家と社会のあり方を、フランス中心に検討せよ
絶対主義(絶対王政)とは一般的に、16から17世紀のヨーロッパに広まった国王が強大な権力を持ち、中央集権的な国家として、地方の諸身分を統合していく政治体制であるといわれている。世界史の教科書にも、絶対主義国家は「中央の官僚制と常備軍の二本柱のもとで、国王による統合が進展した」と書かれている。しかし、実際の国家や社会は、王権が何事においても国中のいたるところまで行き届いているわけではなかったし、官僚制においても現在のわれわれの持つイメージとは違うものであった。
近世ヨーロッパにおける絶対主義の典型と目されるフランス王国では、15世紀半ばのルイ11世の時代から18世紀後半のルイ15世までの300年の間にほぼ現在のフランスの領土へと拡大していった。しかし、新たに編入した領域に王権が発揮できたかというと、そうではなかった。たしかに領地はフランス王の臣下となったが、そこの統治権はその領地の諸侯にゆだねられた。今で言う地方分権である。これは、フランス王領に新たな地域を編入する際に、「フランス王に服属し、その臣下とな...