2010年後期の日大通信メディア授業の英語音声学の授業内容です。扱った内容をまとめてあります。学習の参考になれば幸いです。
音声学は,世界の様々な言語を対象として,人間がコミュニケーションに使っている音声を研究する学問です。英語音声学MAでは,話しことばを分節音の連続体として捉え,音声学的観点から記述し,分析する方法を概説しました。日本語と英語における母音と子音,そして音節を分類して記述することを学びました。更に,外国語の発音習慣を身につけようとする際に観察される音声転移という現象を紹介しました。英語音声学MBでは,英語音声におけるプロソディの特徴を中心にして考察を進めていきたいと思います。この第1回目の講義では,プロソディのひとつであるリズムについて,英語音声と日本語音声を比較しながら概説します。
第1章 話し言葉のプロソディ
【シーン1】 言語音声を調べていくための音声学的観点は2つに大別することができます。
ひとつは,話しことばを分節音に分解して,孤立した現象として見ていくことです。このような観点から,途切れることなく連続する話しことばを,主要な調音動作に基づいて,母音や子音に分類して記述することができます。しかし,「途切れることなく連続する」という性質は,複数の分節音に渡って現れる特徴にも注意...