日本女子大学通信教育 課題リポート
児童文学
児童文学
1969年、神沢寿子氏によって執筆され、井上洋介氏によって挿絵が描かれた『くまの子ウ
ーフ』は、2011年1月に、28 回目の改訂がなされた。登校子ども図書館の設立者である松岡
享子氏によれば、良い絵本を見分けるにはその絵本が満25歳以上かどうかということが有効な
判断材料になるということなので、46年の歴史を持つ『くまの子ウーフ』はその基準から言え
ば良い作品ということになる。なぜ、こんなにも世代を超えて子ども達に好まれているのか。
それは本作が、’話の中に子どもはを自然に受け入れる構造’になっているからではないかと私は
考える。5歳から8歳という年齢の子どもは、絵本を読む場合に、主人公と一体になって物語を
楽しむ傾向があると言われ1、その、子どもがいかに安心して話に集中できるかということへの
配慮がいたる所に見受けられる本作は、子ども達を惹きつけてやまないのだろう。
まず、物語に入る前のページの使い方に作者の工夫がみられる。多くの作品が表紙→内表紙→
主人公ウーフとお父さんとお母さんの絵→ウーフの自己紹介→もくじ→お話というようにお話が始
まる前に主人公について知る...