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本問ように、不法占有するCに対して、Aが明渡しも求める法的構成について、①占有訴権、②債権者代位権、③妨害排除請求権の権利を主張した場合にどのような差異が生じるかについて考察したい。
①占有訴権について
占有訴権とは、占有者が占有を妨害されまたは妨害されるおそれがある場合に、妨害者に妨害の排除を請求する権利である(民197条以下)。占有訴権には、「占有回収の訴え」、「占有保持の訴え」、「占有保全の訴え」の3つがある。占有訴権の請求権者は、およそ占有者であればよく、権限の有無・善意悪意は問わない。従って、悪意の占有者でも占有権を有する。そもそも占有権とは、「自己のためにする意思をもって物を保持することによって取得する」(民180条)。よって、本問のように、BからAへすでに不動産の引渡しがされており、占有が開始されている状態であれば、AはCに対して占有訴権によってCを排除することは可能である。
②債権者代位権について
債権者代位権とは、債権者が債務者に対する債権を保全するために、債務者に代わって債務者の第三者に対する権利を行使できる権利をいう(民423条)。債権者代...