「わが国の現代における健康観を過去の健康観の変遷を踏まえて述べよ」
「わが国の現代における健康観を過去の健康観の変遷を踏まえて述べよ」
「健康観」とは、健康に関する価値観や意識のことである。この健康観はその時代の状況に大きく影響を受け、時代の流れと共に移り変わるものである。我が国では、健康観がどのように変遷していったのかを踏まえ、現代における健康観について考察を進めていく。
1,変遷
「健康」という言葉が我が国で使われるようになったのは江戸時代の末期であると言われている。この言葉は西洋医学の書物の中で使われたのみで、一般的なものではなかったようだ。現代の健康にあたる語としては、「健やか」「丈夫」などの言葉が使われていたという。江戸時代後期あたりから社会的にも安定し、健康に関心が向くようになったといわれている。この頃、「養生書」という名の健康に関する本が出版されていたことからも、これがうかがえる。しかし、まだこの頃は栄養についての知識が浸透しておらず、炭水化物と塩分が多く、動物性タンパク質が少ない、偏った食生活が行われていたという。平均寿命も低く、感染症で亡くなる人も多かった。つまり日常の生活習慣の改善にまで及ばなかったのだ。
この時代に心身一元化の...