医療ソーシャルワーカーの役割について
人が病院等の保健医療機関に訪れるのは、病気の治療や予防のためである。しかし、実際にはその主目的に付随して、患者や家族が様々な課題に直面することがある。高額な治療費、長期入院による心理的不安、家族の負担、社会復帰の問題など、医師等の治療の専門家だけでは解決できない様々な問題が起こりうる。これらの問題の解決・調整を援助し、患者や家族のサポートをするのが医療ソーシャルワーカーである。
平成元年、当時の厚生省は「医療ソーシャルワーカー業務指針」を策定し、その業務の範囲と方法について方向性を示している。
経済的問題の解決、調整援助
患者が医療費、生活費に困っている場合に、保険、福祉等関係諸制度を活用できるように援助する。医療費控除、高額療養費制度のほか、生活保護や傷病手当の紹介・申請の援助、あるいは介護保険や障害福祉サービスへの移行援助などがこれにあたる。
療養中の心理的・社会的問題の解決、調整援助
通院・入院中の不安・不満への対応はもちろん、退院して在宅療養する場合の家族支援や、療養に付随する生活面の困難に対しても援助を行うことが必要である。また、関係機関や施設の情報を収集・紹介し...