システム理論と相談援助技術の関係について
社会福祉の起源と言われるエリザベス救貧法の時代、貧困や障害の原因は、対象者自身の態度や生活史にあるとする考え方が主流であった。19世紀に入り、友愛訪問活動を実践したリッチモンド以来、人や環境をどのように理解し、その関係をどう捉えるのか等の議論が繰り返された。そして、問題の所在を個人に求めるのではなく、困難を抱える人やその家族、周辺環境を一つのシステムとして捉えて分析しようとする考えが急速に広まった。18世紀に自然科学の考え方から発展したこの視点を「システム理論」と言う。
元となった一般システム理論は、1968年に生物学者ベルタランフィによって発表された。当時主流であったニュートン力学が「結果は原因より生じる」という一義的な因果関係で説明できるという考え方をしたのに対し、対象をシステムとして捉え、周辺システムとの関係性やそれによる多元的変化に注目した点に特色がある。一般システム理論ではこれを「開放システム」と呼び、他のシステムと情報やエネルギーを交換する境界を「インターフェイス」としている。また、システムはそれが最小であったり最大であったりしない限り、他のシステムの構成要素にもなってお...