精神保健福祉領域での各専門家の連携と、精神保健福祉士が持つべき視点・役割について
精神保健福祉の領域では、さまざまな専門職が連携して活動している。医療関連職としての医師・看護師・保健師・心理職・作業療法士の他、ケースワーカー、作業所の職員等が自分の専門分野を活かしながら援助活動を行っている。その中で精神保健福祉士(以下PSW)はどのような役割を果たしているのであろうか。本稿ではPSWの職務と、持つべき視点について述べる。
PSWとは、1997年に誕生した精神保健福祉領域のソーシャルワーカーの国家資格である。前身ともいえる精神科ソーシャルワーカーの活動は、第二次大戦後に国立国府台病院(現国立精神保健センター国府台病院)で始まった。その後、精神衛生法の発効とともに精神科医・臨床心理士と精神科ソーシャルワーカーによる臨床チームの試みが初めて導入された。1960年代には全国で60~70名、患者の生活や経済的な相談業務にとどまっていたが、1964年の日本精神医学ソーシャルワーカー協会発足により、専門職としての基盤ができたといえる。現在では単なる相談活動にとどまらず、精神障害者やその疑いのある人の受診から社会復帰、社会参加と自立に至るまでの支援と、施設生活から地域生活までの一貫...