問題1
AさんとQ相談員との事例については、Q相談員はAさんの体のことを主に捉え、良かれと思ってだとは思いますが、Aさんの言葉の情報だけをもとに、アセスメントもそこそこに、そのまま必要な措置に移行しようとしている。
Aさんは電話では主人を預かって貰えるところを探していると電話してきてはいるが、実際は預かって貰いたいというよりも、やり場のないストレスを少しでも吐き出したい、現状のつらさを誰かに判ってもらいたいという気持ちの方が強く、まずは信頼できる相談先を探して今後のことについて相談にのって貰いたいと考えている。
特に、ショートステイの説明の件では「奥様のように」「旅行を理由に」と、実際には預かってもらうことについて非常に抵抗感を抱いているAさんに対し、まるで動物ホテルのように「気軽に預けられますよ」という安直な受け答えをしてしまっている。
ダメ押しで「むきにならないで下さい」「お疲れなんでしょう」と相談員が理解出来ない感情の動きまでもAさんへ責任を押し付けるかのような話の進め方を行っている。
一方BさんとR相談員の事例では、R相談員は電話という相手の姿の見えない情報伝達手段にて相手の感情を逆なでないように相手に気遣った上で、最初の訴えだけでなく、まずは正確な状況の判断を行っている。
Bさんのご主人への思いや今の状況に対する気持ちを正確につかんだ上で、相談員の自分勝手な結果の押し付けでなく、Bさんとご主人双方の意思を尊重して相談しましょうと提案している。
問題2
2つのケースの最も大きな分岐点はクライエントを個別化出来たかどうかと思われる。
Q相談員が電話での最初の訴えのみで問題把握を終わらせて、ラポールも形成せずに十把一絡げな具体策の提案に移ってしまっている。対して、R相談員はBさんへの共感を示しつつ、正確な状況判断をするための情報収集をしっかりと行い、Bさんの最初の言葉だけでは掴めなかったご主人に対する気持ちを受け止めた上で、具体案を避け、面談での話し合いを提案している。
まずはインテーク段階でかかわり技法を用いてしっかりと傾聴を行い、クライエントが安心して問題を話せる環境を構築することが重要であると思われる。またラポールを形成した上で、クライエントを個別に評価し、主訴だけでなく、感情や環境、性格・価値観などをしっかりと理解することが大切である。
また、R相談員はより開かれた質問を使い、出来るだけBさんの言葉で状況を話して貰うようにしている。Q相談員のように閉ざされた質問が多いと得られる情報が限定されてしまうだけでなく、クライエントに断定されているような、一種の押し付けのような感情を持たれてしまう危険性がある。
Q相談員は奥さんのみの状況に対する援助提案を行い、ご主人は自由に扱えるモノとして済ませてしまっているが、R相談員は当然関わるご主人へも個としての意思を大切にしている。きちんと関係する全ての人への気持ちの配慮は絶対に欠かしてはならないと思われる。
東海医療福祉専門学校 厚生労働省指定通信教育
学科 社会福祉科 学年 1 学籍番号 氏名 科目 相談援助演習 課題 レポート課題①