『楡の木陰の欲望』の演劇的手法について述べよ。
この作品は、全部で3部作から成り、第一部を「地上的」世界、第二部を「地下的」世界、第3部を「天上的」世界にそれぞれ類比しながら、人間の深部に横たわる欲望と罪業に迫ろうというものである。ところが、これら三つの世界は三つの異なる場面を要求するとは限らない。オニールは、場面を一つにすることを求めており、彼は、ニュー・イングランドの農場の、巨大な楡の木にはさまれた農家を劇の場面として選んだ。この木の姿には、押しつぶし、嫉妬深くも我が物にしようとする不気味な母性があるのである。
第二部第三場の場面は「家族が生きながら埋葬されている墓」のような客間である。そこには「不気味な母性」の漂う部屋でもある。アビーとエデンが密会をしていると、突然エビンの母の呪縛がエビンの上に最も強く作用し、彼をがんじがらめにしてしまった。れが、この作品の基本的な手法であり、こうすることで、そこからの解放もまた強く用意されるのである。
そして、この作品の演劇的手法は、特に第三部に表れている。第三部の第一場では、アビーに男の子が生まれたために、底抜けに陽気なお祭り騒ぎとなってい...