エリオットの詩の初期から中期の作品を概説せよ。
エリオットは、初期の作品を書いたことで難解な詩を書くモダニスト詩人と呼ばれ、1922年の『荒地』で世界の人々の注目を大きく浴びた。『荒地』は、近代文明の破壊とその前後の繁栄の中に潜む墜落と衰亡の姿を神話や民族学などを駆使して書かれており、極めて知的で難解な詩となっている。その難解さは、専門家でも手を挙げるほどであり、一般の人々には尚更である。『荒地』で大成する前にもいくつかの詩が書かれているので下に紹介する。
『3月兎の調べ』1907年~1917年
・1907年~1917年のエリオットのノートに書かれており、1996年にまとめられた
・「3月の兎」の発情期の視点が詩編の中で描かれており、詩人の精神的な不安定を表している。
・興奮して悩んでいる3月の兎は、やがて無関心の観念論者になるが、自意識と抑圧感が全詩篇を覆っている。
・詩作技術が未熟であるため、エリオット独特の表現法が露わになっている。
『プルーフロックとその他の観察』1917年、29歳
・エリオットの処女詩集
・若者の無分別とは対照的な、石橋をたたいても渡らない慎重居士をすぐさ...
参考にどうぞ。