2000年に介護保険制度が創設された背景には、世界に類を見ないほどのスピードで超高齢化社会に突入していくことが国民全体の不安となったことが挙げられる。それは女性の社会進出、核家族化などの社会構造の変化によって、家族の介護力が低下している状況において、将来的に介護に対する費用負担の増大が予測され、個人の負担で介護にかかる費用を捻出していくには限界もある。そのような状況において国民全体・社会全体で高齢者を支えていくことを目的に創設されたのが本制度である。
従来の高齢者福祉サービスは措置制度であり、利用者がサービスの種類や提供機関を自由に選択することができなかった。さらに市町村が直接あるいは委託事業としてサービスを提供していたため、事業者側に競争原理が働かず、画一的なサービス内容になりがちでもあった。そこで介護保険制度が導入され、介護サービスの提供者側である事業者が民間のノウハウを積極的に活用しながら参入できるようになり、そのことでサービスを受ける側の利用者もサービスや事業者を自由に選択することができるようになった。
また介護保険以前には、老人福祉と老人保健の2つの異なる制度の元でサービスが...