ここ数年、一人暮らし高齢者の孤独死、児童及び認知症高齢者への虐待といった社会問題が増加している。こうした社会からの孤立や孤独を背景とする問題を未然に防ぎ、迅速に解決するためには、地域住民や個人が抱えている問題をいち早くキャッチし、問題解決に向けてアプローチしていかなければならない。しかし援助が必要であるにもかかわらず、援助を受けることに消極的、拒否的、攻撃的である利用者に対しては、社会福祉の実施機関がその職権によって積極的に手を差し伸べ、出向いていくことで、利用を実現させるアウトリーチが求められている。
広義のアウトリーチとは①ニーズを引き起こし②情報提供③サービス提供④地域づくりなどの過程における専門機関における積極的取り組みである。そして狭義のアウトリーチとは、客観的にみて援助が必要と判断される問題を抱え、社会的に不適応状態にありながら自発的に援助をもとめようとしない対象者に対して、援助機関側から積極的に働きかけ、その問題を確認しながら援助を活用するように動機付け、問題解決を促進する技法及びその視点のことである。
介護保険制度の施行により高齢者については、援助を必要とするケースを...