佛教大学 英米文学科 A合格レポート
『灰の水曜日について、あるテーマを選んで論述せよ。内容にふさわしいタイトルを付すこと。』
「灰の水曜日に見られる暗喩と宗教について」
トマス・スターンズ・エリオット(Thomas Stearns Eliot, 1888-1965)はイギリスの詩人であり、劇作家や文芸批評家の一面も持ち合わせた作家でノーベル文学賞の受賞者でもある。アメリカのミズーリ州に生まれたが、今回のレポートの「灰の水曜日(Ash Wednesday,1930)」の完成前に英国へと帰化している。同時に妻との確執なども要因となり進行に救いを求め、英国教会へと改宗したこともこの作品への大きな特徴付けとなった。それは、エリオットによって同じく中期に書かれた「うつろなる人々(The Hollow Men,1935)」や「妖精詩集(Ariel Poems,1927-1930)」とは、その主題なり技法なり思考内容にその違いがはっきりと見られるであろう。「妖精詩集」では神の栄光を認識すると同時に厄災の振りかかるのを見、救いを見た後の死は心安らかなものに違いないと描く。これは、神への祈りの苦悩や悲観的なマイナス面を描いていると考えう...