『日本文化概論1』レポート
《日本文化に見る諺》
緒論
本論文では、その国の文化を反映するとされる諺の日本文化における展開について論じる。
まず始めに日本に於ける諺の派生と、時代に沿った普及の歴史について概覧し、外来文化との接触にも対応させながら諺の歴史について述べていきたい。
次に日本の諺の特徴を分析し、日本が最も諺を頻繁に輸入してきた中国の諺との比較に繋げていきたい。文化を反映する諺から、両国間の文化の違いを読みとるという趣旨である。
最後に、以上の考察から得た見地に基づき、日本文化に於ける諺とは何なのか。また、現在の我々は諺をどうとらえるべきかを論じ、本論文の結論としたい。
本論
日本に於ける諺の派生の仕方は漢文系と和文系に分けられる。この両者の発達は均衡しておらず、平安時代の『世俗諺文』には二二六語の漢籍に由来する諺が収められている一方、和文系の諺の書籍として『天草版金句集』(一五九四)、『毛吹草』(一六四七)、『諺草』(一七〇一)等があるが、漢文系からの和訳によるものが多く含まれており、その使用分野に於いても漢文系と拮抗するには至らなかった。
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