ドイツ法における物権と債権の分離について、日本法の物権法や債権法と比較してまとめたものです。
「ドイツ法における物権と債権の分離について・日本法との比較」
ドイツ法と日本法における物権と債権の違いに関して考えるとき、まず真っ先に目に付くのは、日本法とドイツ法とで物権法と債権法との順番が異なる、ということである。日本民法においては第二編が債権法、第三編が物権法であるが、ドイツ民法典においてはその順番が逆(しかも債権法ではなく債務法)である。
このように、ドイツ法と日本法においては物権と債権との関係についての考えが異なっている。日本法においては債権と物権の区別こそあれ、それほど徹底したものではないのに対し、ドイツ法においては債権と物権は完全に分離されているのである。以下にその詳細についてみていこう。
そもそも、債権と物権とはなんであろうか?債権とはその法的効力が当事者にしか及ばない財産権であるが代わりに公示を必要としないのに対し、物権は公示を必要とするものの、当事者ではない第三者にも、すなわち誰にでも効力が及ぶ排他的・優先的効力を持った財産権である。
あらゆる者に対して効力が及ぶことから、物権は第三者保護のため様々な規定がある。すなわち物権の種類の限定、物権法定主義、公示など...