蘇軾の作品を読んで疑問点を一つ取り上げ、それに対する自分の考えを述べよ。
蘇軾の詩は、のびやかで明朗で、時に軽妙なユーモアを含めながら知的なものが多い。しかしながらその人生は壮絶で、官界抗争の荒波にもまれ、二度の流罪という過酷な試練を受けた。そのような運命の中を蘇軾は、その持ち前の楽観性と強靭な精神を一貫として持ち続け、それまでの詩人にはない境地を拓いたといえる。
蘇軾の「超然臺記」は、彼の明快で心地良い楽天性が表れている文章である。この文章は、蘇軾が、密州に知事として赴任した時に書かれたもので、冒頭には彼の楽観論が述べられている。「物は何でも皆どこか見るべき価値があるものだ。見るべき価値があれば全て楽しめる所がある。不思議な物、変わった物、珍しい物、美しい物に限らない。酒の粕を食べ、金魚酒をすすっても、酔うことはできる。肉が無くて、果物や野菜や草や木だけでも腹をふくらませることはできる。このように考えてゆけば、私はどこへ行っても楽しいのである。」という内容である。前任地の杭州と異なって密州は土地が痩せて凶作続きという貧しい地方であった。加えて官吏としての蘇軾の生活も杭州時代より質素な...