日本に於ける「漢文」とは何か、その定義を述べよ。
漢文というと、私たちは何を思い浮かべるであろうか。私の場合は、中学校や高校の国語の授業で習った漢詩を思い浮かべることができる。漢字ばかりの文に返り点や送り仮名などを付けて読む、特殊な文章のようにも思えたものである。それでは改めて、日本における漢文とはどのようなものであるかを述べていきたい。
漢文が生まれたのは、今から数千年も前の、まだ紙や筆が発明されていない時代のことであった。その頃の記録は、竹や木片などに彫ったり、細い棒の先に漆を付けて記したりしたものであり、漢字は画数が多くて書くのに時間がかかったものと思われる。そのため、漢文の文体は非常に省略が多く、必要最低限の文字だけで記されるという特徴と、当時の話し言葉とも異なる書き言葉である特徴を持っているのである。
つまり、漢文はメモに近いような文体になっているのが大きな特徴なのである。
このような特徴を持った漢文は、中国の古典文であるため、もともとは漢字だけで記されたものであった。日本では、漢字だけで記された漢文の原文を「白文」と呼んでいる。しかし、白文を見てそのまま日本語に読み下すのは...