「美しい」と「きれいだ」について、意味の類似点と相違点を述べよ。
はじめに
「美しい」と「きれいだ」について、辞典を引いて意味を調べ、具体的な用法を挙げていきたい。様々な辞書を引いてみたが、意味と用法が豊富な点から、主に『日本語大辞典』(小学館)に基づいて比較していきたい。
1、「美しい」の意味と用法
①形、色、音など、視覚や聴覚の対象となるものが整っていて感じがよく、心が楽しくなったり感動したりする様子。「美しい花(音色)」「美しい女性」「美しい文章に接する」
②人の行為や態度、あるいは、ある事柄の内容が好ましい感じである。「美しい行い」「美しい兄弟愛」
③いとしい、かわいい、特に、幼少の者、小さい物に対して、その様子がいかにも愛らしい、可憐である。*竹取「それを見れば三寸がかりなる人いとうつくしうてゐたり」
④きちんとしている、さっぱりとしている。*源氏美しい乙女「その日のふみ、うつくしうつくりて給て進士になり給ひぬ」補注:上代は主として肉親に対する愛情を表し、現代の「いとしい」「かわいい」などの意に使われた、中古以降は、この他に、情意性と状態性とを兼ね、特に小さい物に寄せる愛、小...