有価証券の内容・取得・売買・評価に関して体系的に述べる。
簿記論Ⅰ 分冊2
有価証券の内容・取得・売買・評価に関して体系的に説明する。
有価証券とは、財産的価値を有する私権を表章する証券のことで、企業が余裕資金を一時的に運用するために取得する株式や公社債などを言う。簿記における有価証券の範囲は、投資者の保護を目的とする証券取引法2条で法定されており、郵便切手・収入印紙、金銭信託の受益証券、合名・合資・合同会社の出資持分、学校債などは含めない。有価証券の処理は取得目的を基準に区分している。一般的に、資金運用のために、短期的・一時的に有価証券を取得した場合は、流動資産の有価証券勘定で処理する。長期目的に有価証券を取得した場合は、固定資産の「投資その他の資産」に区分される。これには投資目的と資本参加目的との主に2つに分けられ、前者が投資有価証券勘定で処理し、後者が関係会社有価証券、親・子会社有価証券勘定などで処理する。なお、証券・銀行業者の有価証券は、商品有価証券勘定として流動資産のうち棚卸資産に含める。
有価証券の取得価額は、原則として買入価格に株式売買委託手数料などの付随費用を加算した価額とする。社債などを取得する時は、最近の利払い後の経...