A評価
学力低下とは何かを明らかにし、社会階層のような社会的不平等と学力がどのような関わりをもつかについて述べてください。
学力低下に関する議論が盛んである。学力低下自体は昔から様々な形で繰り返し議論されてきたことであり、目新しいことではない。しかし、具体的な国際比較や時系列的なデータが示されたのと同時に、教育現場で教育に携わる関係者に非常にフィットしたことがこれだけの議論を呼ぶ直接的なきっかけになったと考えられる。学力低下よりも学力向上のほうが、基本的には望ましいのであろう。中には、文部科学省の学力テストの実施による学力向上を目指す動向を、「学力コンクールの蔓延=受験競争の激化」と短絡的に結びつけ、学力向上を懸念する珍妙な声も、一部の進歩的教育学者からは寄せられる。世界の先進諸国が1970年代から1980年代にかけて経験した深刻な学力低下と、それと関連する当該国家の国際的地位の低下への真摯な反省に基づき、学力向上を目指す様々な取り組みを続けているときに、また、発展途上国が教育の普及のために、学力向上のために貧しい教育資源を最大限有効に生かすべき四苦八苦しているときに、日本がひとり黙々と「武装...