日大通信教育学部の合格レポートです、科目は民法Ⅳ、分冊1です。「会社の定年退職をまじかに控えた甲は、・・・・・・」
参考文献:コンメンタール民法 総則・物権・債権、我妻・有泉、p933、日本評論社、2006.5.31
契約締結上の過失 改訂版 加藤新太郎、p6他全体参照、新日本法規出版、平成24.5.1
法学講義民法Ⅰ総則第2版、奥田昌道、p337、悠々社、2007.6.1
1 はじめに
契約の当事者が被害を被ったときに相手方に対してとりうる手段については、契約成立後であれば債務不履行に基づく損害賠償請求でよい。しかし、契約締結前では債権債務関係になく不法行為の基づく損害賠償請求しかできないのかが問題となる。
2 債務不履行
承諾がないため、契約成立に至らず、債務不履行に基づく損害賠償請求はできない。
承諾の自由の例外として、借地借家法、農地法等に規定があって、一定の場合に承諾があったとみなされるケースがあるが、本件はこれらにも該当しない。
意思実現による契約の成立として民法第526条第Ⅱ項で契約は、取引上の慣習等で承諾が必要ないときは、承諾の意思表示と認めるべき事実のあったときに成立するとしている。これも本件は問題にならない。
3 信義則違反
契約成立前に、契約成立を信じていた者を救済する法理として、契約に際しての信義則違反が問題となる。信義誠実の原則は、契約しそうな段階からから終了までの間、当事者間を支配する。債権は、債務者の自由な意思によって履行されるものであり、債務者の履行を信頼するという信頼関係を前提とする。契約においては、相互に...