H22報告課題刑法Ⅰ 参考文献 C-book 基礎刑法各論(早稲田経営出版、新保義隆)
1 問題。
被害者の承諾(又は被害者同意)とは、法益の主体である被害者(侵害される者)が、その者の法益に対する侵害を承諾し、又はその侵害に同意していることをいう。
この同意があった場合、犯罪の成否にどのような影響を与えるか。
犯罪とはその犯罪の構成要件に該当する違法、有責な行為である。被害者の同意のある行為は、このうち構成要件に該当するが、違法性が阻却され犯罪が不成立になる(違法性阻却事由の問題)と一般に言われているが、そればかりではなく、次のとおり。
構成要件該当性を阻却する場合
違法性を阻却する場合
犯罪の成否に影響をしない場合(構成要件に該当しない場合として、窃盗罪、住居侵入罪)
処罰規定が変更される場合(異なる構成要件に該当する場合として、殺人罪)
次に、被害者の承諾が違法性を阻却するとして、その根拠は何か。同意の要件は何かが問題となる。
最後に、被害者の身体障害について同意がある場合に障害罪が成立するか(同意傷害)が問題となる。
2 判例・学説
犯罪の成否については、上記1のとおり4つに分類され、保護法益ついて、個人に処分権限があるもの(①②)と...