本レポートは、『公共図書館の存在意義と使命』を経営的視点から明確にするため、①情報化社会②生涯学習時代という2つの視点から論じています。参考文献は、計7冊使用しています。八洲学園大学の図書館経営論で、本レポートと最終試験レポートを含め、優評価を得ています。尚、ホームライブラリーの現状と課題に関しては、『大都市公共図書館の盲点と衰退』をご参照ください。公共図書館の歴史についてご興味のある方は、無償公開しております『中央都市における公共図書館の運営』~その意義と影響~、または、『日野市立図書館の、日本図書館史における意義』をご参照ください。こちらも、優の評価を得ています。
序
「図書館」という言葉を聞くと、まず思い浮かべるのは「本を借りる」・「そこで本を読む」ということである。これらは現代に生きる多くの市民にとって当然の権利として認識されている。いまや図書館関係者でもなければ、図書館の主な役割が図書の利用ではなく図書の保存であったなど、想像すらされないだろう。それくらい図書館は貸出を中心としたサービスを推進し、市民の精神的充足に大きな役割を果たしてきたのだ。
つまり、高度経済成長を経て、物質的に充たされた市民が次に求めたのは精神的充足であり、図書館の図書は市民にとって必要不可欠な存在だったのだ。
そして今、図書館はますます市民にとって必要不可欠な存在になろうとしている。あるいは、そのような存在になる可能性を持っている。現代社会は「情報化社会」および「生涯学習社会」であり、そこに生きる人々は今後ますます「知る=情報」を必要とするからだ。
もちろん情報化社会に生きる我々にとって、図書館だけが情報を入手できる場所ではない。家のパソコンを使えばインターネットを通じて多くの情報を閲覧できるし、パソコンが無くてもネットカフェに行けば同様のことが可能である。(...