古代から近代の教育への時代の移行のなかで、教育は限られた階層のための教育から、一般人民へ向けての教育となった。それぞれの時代にはどのような教育思想があったのだろうか。
古代ギリシャにおいては、アテナイ、スパルタと呼ばれるポリスがギリシャ社会を形成し、教育もポリスに有用な人格を育成するために存在した。スパルタでの教育は、ポリスを守るための優秀な戦士を育てあげることを目的に、7歳から身体鍛錬のために集団訓練を受けるという厳しい軍国主義教育がなされた。アテナイでの教育は、スパルタのそれと多少異なり、あらゆる意味で「調和のとれた人間」を育成することが目的とされ、7歳になると学校に入り体操や音楽をはじめ、一般的な教育がなされた。前4.5世紀のアテナイにおいては、ソフィストの教育思想とソクラテスの教育思想が対立した。ソフィストは、社会の中ですぐに役に立つ実用的な教育を教え込み、教育とは子供に教えたことを記憶させる事だと考えていた。一方ソクラテスはソフィストに反対し、知識を教えるのではなく、対話によって子供に「無知」を自覚させ、自らの力で考え学びとらせることが教育だと主張した。また、ソクラテスの弟...