【参考資料】
実験で学ぶ経済学/大塚友美
入門マクロ経済学/中谷 巌
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イギリスの経済学者ケインズが『雇用・利子および貨幣の一般理論』で提唱した「有効需要の原理」とは、供給量を需要量に見合って最適な水準に調整した結果が、一国の産出量あるいは国民所得に均衡水準を決定する原理をさす。
アダム=スミス以降の伝統的経済学は、市場の働き(神の見えざる手)の働きに信頼を寄せ、「自由放任」と「自由競争」をもとに、多数の生産者と需要者に自己責任を求めていた。しかし、独占企業の進展から貧富の格差が拡大したことで、市場経済(資本主義)を廃止し平等な経済を築こうとする社会主義や、国家の介入により経済の安定成長と社会経済的弱者の生存権(社会権)の擁護を図ろうとする修正資本主義の台頭があった。この後者の修正資本主義こそが、ケインズの有効需要の原理にあたり、「自由放任」・「安価な政府」から逸脱するものだった。
深刻な不況・失業を目の当たりにしたケインズは、それまで経済学で支配的な地位を占めていた「供給はそれ自らの需要をつくりだす」という「セイの法則」を否定し、「需要が供給を規定する」という新たな枠組みを提示した。つまり、需要(有効需要)の不足...