【参考資料】
日本の税制/中村稔
消費税は、消費一般に対して広く公平に負担を求めるため、原則すべての財貨・サービスの国内における販売、提供などを課税対象とし、生産・流通・販売などの全段階において、他の事業者や消費者に財貨・サービスの販売、提供などを行う事業者を納税義務者としているが、問題点もある。
逆進性
消費税は、一般消費財に対して単一税率を乗じて課すため、すべての世代に広く薄く課税され、逆進性が現れる。逆進性とは、所得が多い家計ほど、所得に対する消費税の負担割合は低くなるが、所得が少ない家計では、所得に対する消費税の負担割合が高くなることである。したがって垂直的公平性の観点から問題視されている。すなわち、逆進性は累進性の逆である。
実際、家計全体を実収入の少ない方から10%ずつ10%分位に分けて、実収入に占める 消費税負担割合をみると、実収入の 少ないほうから10%と実収入の多い方から10%の割合はそれぞれ3.0%と2.0%となっており、税負担の差は1.0%となっている。この1.0%という数値は、現行の5%という低い税率のもとでは、それほど実収入に対して逆進性を有しているとはいえないかもしれないが、税率が引き...