「保育者に求められる資質について」
保育の道を志す者として考える資質とは、「子どもの世界に共感することができる者である」というものである。子どもに共感するといっても、学術的見解を踏まえたような「大人の目から見た」解釈ではない。子どもの精神、心の動きや着目点など、子どもの内面全てを踏まえたいわゆる「子どもの世界」に、共感することができる資質ということだ。もちろん、「大人」と「子ども」であり、そして「個人」と「個人」である以上、子どもの世界に完全に共感することは不可能である。しかしながら保育には、様々な面で「子どもの世界に共感する」ことへの必要性がでてくる。
まず、「保育」とは、「養護」と「教育」が一体となったものである。保育における養護とは、子どもが自己を十分に発揮していけるように、健康・安全で情緒の安定した生活が出来る環境を用意することである。それには、様々な場面での子どもの様子を把握することが必要となる。何より、子どもがその瞬間に置かれている状態と、それによる心の動きを把握し、かつ温かく受容していくことが求められる。当然ながら、子どもたちは大人と同じくそれぞれ違う個性を持っているが...