2011年度課題レポート・民法1(総則)のものです。
題:代理人の権限濫用
序
私的自治能力を補充及び拡張するために代理制度が存在し、代理人の意思表示の効果は悉く直接に本人に帰属する(1)とある。しかし、代理人が本人の利益に反して自己又は第三者の利益を図り代理権を行使しても、代理行為の効力は原則通り発生し得るのか。
本稿では本人と相手方との利益調節を如何なる法的根拠を以て図るかにつき着目する。
そこで以下に、まず代理制度の意義につき確認し、次に代理人の権限濫用がある場合如何に代理行為の効力を考えるか学説及び判例の立場を紹介し、検討する。
第一章:代理制度
上のように、本来代理行為は私的自治の補充及び拡張を目指す制度である。そこには如何なる成立要件があり、本人に如何なる法的効果が帰属するのか。
代理の成立には、①代理権の存在と②顕名とが必要である(2)。①につき、任意代理の場合は本人の授与行為、そして法定代理の場合は法律の規律により与えられる。
序論で述べた通り、「代理人の意思表示の効果は、ことごとく直接に本人に帰属する(3)」という原則がある。注目すべきは「ことごとく」という意味である。この点、...