2011年度課題レポート、商法(会社法)のものです。
題:株式会社の資金調達
序
株式会社には、永続的な会社として設立後における資金調達の必要性がある。この点会社法は、株式会社制度につき如何なる資金調達手段を評価しているか。
そこで本稿では、まず募集株式の発行等につき述べ、次に新株予約権の発行について叙し、最後に社債について記す。
第一章:募集株式の発行等
募集株式とは「募集に応じて株式会社の発行する株式または株式会社の処分する自己株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式(199条1項)」をいう。これは新株発行における株式と自己株式の処分の場合の株式を併せた上位概念である(1)。
ここで募集株式の発行等の場合、会社設立時の場合と異なり、出資の履行の催告(36条1項)がなされず、創立総会の開催(65条以下)を要さない。よって迅速・機動的な資金調達手段といえる。
しかし、募集株式の発行等にあたっては会社の資金調達の利益と既存株主の利益とが衝突する。会社側は資金調達が円滑かつ容易に進捗することが財務内容の健全化に繋がるが、既存株主側は持株比率的利益及び経済的利益の侵害がなされる(2)からである。...