第2設題 アメリカにおいて進められてきた「新自由主義」政策が「貧困大国」を生み出した事態について、災害、医療、教育、戦争という「人のいのち」にかかわる四つの領域のどれか1つの領域を選んで、その実態を詳しくつかみ、重要なことを整理してみよ。
序
20世紀に入ってから、伝統的自由主義に対する修正の動きが明確になっていき、福祉国家と呼ばれる動きがそれにあたる。年金、失業手当、医療保険、最低賃金等の社会保障、福祉政策が充実していった。しかしこのような高福祉、政府の経済介入、いわゆる「大きな政府」路線は、1970年代の為替自由化、オイルショック、それに伴う高インフレ、高失業によって修正を余儀なくされた。ベトナム戦争で疲弊した上にカーター政権の経済政策が失敗し、インフレに見舞われたアメリカにおいては福祉国家に代わって経済を回復させる新たな政策規範が求められた。ここで登場するのが「新自由主義」である。この政策が「貧困大国」アメリカを生み出すこととなる。本論においてはまず新自由主義とはどういうものかを述べた上で、「人のいのち」にかかわる領域の「医療」についての実態を詳し...