白血病の定義

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    資料紹介

    資料の原本内容

    白血病の定義

    分化過程にある血液細胞が、造血幹細胞のレベルで形質転換を起こして異常クローンが発生し、このクローン由来の病的白血球が無制限に増殖し、その結果正常血液細胞の増殖が抑制され、かわって末梢血液中に正常時にはみられない未熟白血球が出現し、かつ骨髄をはじめとする全身諸臓器に白血病細胞の増殖浸潤をきたす疾患

    症状

    白血病細胞が増加し、正常な血球が減少するため、白血球減少に伴う感染症(発熱し、40度近くなる)、赤血球減少(貧血)に伴う症状(倦怠感、動悸、めまい)、血小板減少に伴う出血症状(歯肉の腫脹や歯肉出血など)により判明することが多く、患者も比較的、多く報告されている。

    原因

    原因は明らかでないものが多いが、多くの白血病細胞では染色体の欠損や転座が認められ、自律増殖能の獲得との関連が示されている。

    放射線被曝、ベンゼンなど一部の化学物質などは発症のリスクファクターとなる。その他にウイルスが原因であるものが知られている。ひとつはエプスタイン・バール・ウイルス (EBV) が関わっている急性リンパ性白血病バーキット型(FAB分類ALL L3)である。もうひとつは日本で同定された成人T細胞性白血病で、レトロウイルスのひとつ HTLV-I の感染が原因であることが明らかになっている

    身体所見

    急性白血病

    倦怠感・発熱・貧血症状および出血の頻度が高く、この4症状で全体の約80%を占める。急性骨髄性白血病(AML)と急性リンパ性白血病(ALL)の大きな相違は認められない。しかし、AMLでは亜型ごとに特徴がみられ、たとえば急性前骨髄球性白血病では、出血および口腔症状(歯肉出血を含む)の頻度が高く、赤白血病では貧血症状で発症した患者が目立ち、発熱や口腔症状はすくない。

    慢性白血病

    急性白血病に比べ貧血症状や出血が少ない反面、症状初発時に腫瘤に気づいている患者が多く、その頻度は慢性骨髄性白血病(CML)で全体の22.9%、慢性リンパ性白血病(CLL)では25.3%とほぼ同率である。腫瘤の内訳では、CMLでは脾腫(脾腫を思わせる症状)が22.3%と圧倒的に多く、CLLでは脾腫は6.3%と少なく、リンパ節腫が19.7%であり、両病型間にきわだった特徴がうかがわれる。

    合併症

    中枢神経白血病

    出血と白血病細胞の浸潤を原因に中枢神経系障害が引き起こされる。このうち、浸潤が起こったために浸潤そのもの、あるいは脳圧亢進により多彩な神経症状を生ずる病態を中枢神経白血病(central nervous system leukemia:CNS-L)・白血病性髄膜炎または髄膜白血病とよぶ。

    症状としては、神経組織や髄膜への浸潤に起因するものと、これに伴う脳圧亢進によるものの2つからなる。

    感染症

    白血病では一般に各種の生体防御の障害、すなわち、顆粒球の減少と細胞性・液性の免疫障害がおこる。したがって発生する感染症は重篤である。

    敗血症  急性白血病患者の治療時に顆粒球減少がおこれば、ほとんど必発であ

         る。

       ② 肺炎   免疫力低下患者に最も頻度の多い致命的感染症である

    中枢神経系感染症

    真菌感染症

    ウイルス感染

    出血傾向

    白血病にみられる出血傾向の原因として最も頻度が高く、また重要なものは、血小板数の低下である。血小板数の低下は、急性白血病、慢性骨髄性白血病の急性憎悪時、また慢性骨髄性白血病の末期などにみられる骨髄抑制、悪性リンパ腫などにみられる血小板交替の発現、DICの併発などにさいしてみられる。

    肺・胸郭内病変

    出現頻度の高い順から、肺内出血、肺水腫、肺うっ血、肺への白血病細胞浸潤、気管支肺炎、胸水貯留、アスペルギルス症、肺梗塞、肺膿瘍、無気肺

    治療の実際

    化学療法

    骨髄移植療法

    末梢血幹細胞移植

    免疫療法

    予後

    白血病の場合、治療により症状が改善しても、腫瘍がすべて消失したことを確認できるわけではないため、治癒とは呼ばず寛解と表現する。造血細胞が正常に分化し、白血病の症状が見られない状態を完全寛解と呼ぶ。 完全寛解を5年以上維持した場合、再発の可能性がほぼなくなったものと考え、治癒と見なす。治癒を得るには、顕微鏡だけで決める血液学的完全寛解では不十分であり、寛解後療法(地固め療法)と呼ばれる化学療法を継続して異常遺伝子の見つからない分子的完全寛解まで到達することが必要。なお、造血幹細胞移植療法は最強力の寛解後療法とされる(ただし、治癒後も治療を原因として発症する二次性白血病のリスクは残存する)。 しかしながら、治癒しても完全に白血病細胞がゼロになったとは断定し切れないため長期的に見た場合10年程度の期間では再発や二次性白血病を患う(再燃)おそれが残存する。再燃の場合は骨髄移植は親族以外では事実上できない(骨髄バンクが優先ランクを初回優先としている)。再燃した白血病細胞は非常に抵抗性が強く化学療法、放射線とも効きにくいため命を落とす確率が高くなる。

    したがって数ヶ月に1度、異常白血球細胞数の検査を生涯に渡って行い、再発・再燃に備えるべきである。

    1980年代以降、化学療法、および造血幹細胞移植が発達し、治療成績は向上しつつある。しかし、依然として重篤な疾患であることに変わりはなく、特に高齢者の患者においては治療が困難な場合も多い。なお、化学療法に関しては、制吐剤が改良されたため、施行中のクオリティ・オブ・ライフ (QOL) は改善されている。

    白血病の中でも最も緊急性の高いものであった急性前骨髄球性白血病 (APL) は、ビタミンA製剤であるオールトランスレチノイン酸 (ATRA) が著効する(分化誘導療法)ことが発見されて以来、白血病の中では治療成績が良好な疾患となった。

    2004年10月には、猛毒として知られる三酸化ヒ素(亜ヒ酸)製剤が再発または難治性の急性前骨髄球性白血病を適応として厚生労働省から承認された。催奇性のため大規模な薬害をおこしたサリドマイドも、白血病の治療薬として現在有望視されている。

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