違憲判決の効力について論ぜよ
憲法 分冊2
課題:
違憲判決の効力について論ぜよ
参考文献:
ゼミナール憲法裁判 野中俊彦・江橋崇・浦部法穂・戸波江二 日本評論社 1986/5/30
個別的効力説と一般的効力説
最高裁判所が違憲判決を下した場合、違憲とされた法令そのものの効力については、個別的効力説と一般的効力説の二つがある。個別的効力説は、違憲判決によって違憲とされた法律は具体的訴訟事件の解決を行うためを前提として認められているため、当該事件についてのみ効力が否定され、適用が排除されるにとどまり、法令自体の存在及び効力には、一般的な効果は及ばないとするものである。これに対して、一般的効力説は、憲法第八一条が最高裁判所に違憲審査権を保障している趣旨からして、たとえ具体的訴訟事件の解決を行うための前提として審査したとしても、違憲判決によって法定を違憲とすれば、当該法律は客観的・確定的に違憲となるとされる。
個別的効力説と一般的効力説の対立の根本は、結局、最高裁の違憲判決が法的に、違憲無効とされた法律を法令集から削除するほどの効果を認めることができるかどうかという点にあり、そして立法権が国会に保留され、裁判所...