2011年度佛教大学通信課程のレポートです。
「アメリカにおいておし進められてきた「新自由主義」政策が「貧困大国」を生み出した事態について、災害、医療、教育、戦争という「人のいのち」にかかわる四つの領域のどれかひとつの領域を選んで、その実態を詳しくつかみ、重要なことを整理してみよ。」(「災害」を選択)
参考:堤未果『ルポ貧困大国アメリカ』(岩波書店、2008年)
アメリカにおいておし進められてきた「新自由主義」政策が「貧困大国」を生み出した事態について、災害、医療、教育、戦争という「人のいのち」にかかわる四つの領域のどれかひとつの領域を選んで、その実態を詳しくつかみ、重要なことを整理してみよ。
はじめに
1980年代のロナルド・レーガン大統領から、アメリカにおいておし進められてきた「新自由主義」政策は、国家による管理や裁量的政策を排し、市場の自由競争によって経済の効率化と発展を実現しようという経済思想にもとづくものである。この政策の目的は、大企業の競争力を高めて経済を上向かせることで、そのために企業に対する規制を撤廃・緩和することや、国営企業・公共部門の民営化を進めることなどをその特徴としている。しかし、国民の自由や権利の保護という点についても、市場原理が持ち込まれるため、絶えざる競争を通じて、自己責任の名の下で社会的格差を生み出す。公共部門の民営化や市場の規制緩和は、社会保障の低下、雇用の不安定化をまねき、さらに格差を拡大させるという問題も生んでいる。レーガン政権以降、アメリカ国内の所得格差を拡大させている市場原理主義は、中間層を消滅...