2011年度佛教大学通信課程のレポートです。
「平成20年版学習指導要領における社会科改訂の趣旨と要点を、これまでの学習指導要領に基づく指導上の課題や生徒の実態、社会の要請などとの関連から考察しなさい」
参考:堀内一男 他 編著『中学校新学習指導要領の展開 社会科編』(明治図書、2008年)
平成20年版学習指導要領における社会科改訂の趣旨と要点を、これまでの学習指導要領に基づく指導上の課題や生徒の実態、社会の要請などとの関連から考察しなさい。
はじめに ~改訂の経緯~
平成20年の学習指導要領の改訂は、時代の大きな変化、社会からの様々な要請、子供たちの学びの実態などを受け止め、教育基本法や学校教育法の改正の趣旨を生かしながら、学びの方向性を明確にするかたちで行われた。具体的に直接の契機となったのは、PISA調査や各種調査結果から読解力や学習意欲、学習習慣・生活習慣に課題があることや、自分への自信の欠如や自らの将来への不安、体力の低下といった課題があることが明らかになったことで、つまり、現行学習指導要領が掲げた「生きる力」が十分にはぐくまれていなかったことが明確になったことが大きい。こうした結果などを踏まえ、中央教育審議会(以下、中教審と略称)では、時代認識として知識基盤社会化やグローバル化をあげ、このような時代には知識や人材をめぐる国際競争が激化するとともに、異なる文化や文明との共存や国際協力の必要性が高まるとの考えを示した。そして、こうした時代にこそ、自ら学び自ら...