高齢者に対する支援と介護保険制度①

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    総務省の発表(2009年)によると、我が国の総人口の1億2,751万人に対して65歳以上の高齢者人口は2,901万人であり、我が国の高齢化率は22.7%である。高齢化率が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」と呼ばれるが、現在の日本は21%を超える「超高齢社会」である。また、総人口においては前年よりも約18万人減少しているのに対し、高齢化率は0.6%上昇している。なお、厚生労働省の「人口動態統計」(2009年)によると、日本の合計特殊出生率は1973年の2.14からほぼ減少傾向にあり、2009年においては1.37という数値が発表されている。つまり、高齢化率増加の背景には、ただ単に老年人口(65歳以上の人口)の増加のみならず、少子化による年少人口(0~14歳)の減少も伴い、我が国は「少子高齢化社会」という現状にあるのである。

    また、高齢化社会の到来はほとんどの先進国が経験している現象であるが、日本の高齢化現象を諸先進国と比較した場合、その進展のスピードが特徴的であることが分かる。諸外国の「高齢化社会」から「高齢社会」へ至るまでの期間に着目すると、フランスで115年、スウェーデンで85年、比較的短いドイツでも40年であるのに対し、日本はわずか24年なのである。すなわち、高齢化社会となった1970年から24年後の1994年には高齢化率が14%を突破し、平成17年には20.1%と世界一の高齢社会となっているのである。さらに、国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」によると、このスピードで高齢化が進めば、2015年には26%、2030年には31.8%、2055年には40.5%と他に類例のないスピードで、どの国も経験したことがない未曽有の超高齢社会になると見込まれており、少子高齢化対策は現在のわが国が抱える重要課題の一つなのである。

    なお、平成22年版高齢者白書によると、高齢者人口は今後いわゆる「団塊の世代」(昭和22(1947)~24(1949)年に生まれた者)が65歳以上となる2015年には3,000万人を超え、「団塊の世代」が75歳以上(後期高齢者)となる2025年には3,500万人に達すると見込まれている。しかし、後期高齢者数においては、その後緩やかな増加と見込まれている。「厚生労働白書(平成15年)」によれば、65歳から74歳までの高齢者(前期高齢者)の要介護発生率が3.9%であるのに対し、後期高齢者では24.2%と加齢によって急激に高くなることが分かっている。つまり、後期高齢者が多くを占めている要介護者が急激に増加するのは2025年までなのである。今後、高齢化対策を講じていく上で、まずは上り坂となる2025年までに、確固たる高齢者介護システムを構築することが一つの目安となるのである。
    ~参考文献~

    東條光雅(2009)『新・社会福祉養成講座13 高齢者に対する支援と介護保険制度』pp30-33中央法規

    濱田孝一(2009)『有料老人ホームが危ない』花伝社
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