勅法と学説法について論ぜよ(優)
西洋法制史
設問:勅法(Leges)と学説法(Lus)について論ぜよ。
1)ローマ法はその特色である「学説法」(Lus)による法創造を経て、「勅法」(Leges)が殆ど唯一の法源へとなって
いった。この背景にはどのようなものだったのだろうか。
2)共和制期
紀元前 451~450 年に制定された十二表法は、一事不再理の原則による厳密な形式主義を貫いており、これ
を活用するには神官のような法の知識を有する者の解答・助言が不可欠だった。この時期には、公人である神
官の他に、私人である法学者もより自由な活動しており、法学を発展させていた。第 2 次ポエニ戦争の勝利と領
土的大発展によるローマ法とヘレニズム文化との接触は、実学一辺倒のローマ法学において、法の組織的研究
と、法学に現実性・法的安定を乱さない流動性・世界法的な一般性・普遍性・信義誠実を基準とする解釈方法を
もたらすことになった。この時期の法形成においては、公職者(特に法務官)の告示による一種の裁判習慣法で
ある名誉法が大きな役割を果たしていた。
3)古典期
オクタヴィアヌスは共和政末の混乱を平定し、形式的には共和政を維持しつつ、実...