古典法とユスティニアヌス法典について(優)
西洋法制史
設問:古典法とユスティニアヌス法について
1)6 世紀前半に即位したユスティニアヌス帝は、ローマ帝国の過去の栄光を取り戻すという理念のもとに、地中
海周辺の旧ローマ帝国領土を再征服した。この一環として、雑然としていた学説や勅法を整理・集大成し、現行
法とすべき統一法典編纂を行った。このユスティニアヌスの法典は、16 世紀にゴトフレドゥスによって『ローマ法
大全』と名付けられた。ローマ法大全は、帝が目指した過去の栄光、すなわち古典法と内容的に密接な関係が
ある。そこで、ローマ法大全と古典法の内容について、以下に検討する。
2)法典の内容と、古典法の影響
『ローマ法大全』は、「勅法彙纂」「学説彙纂」「法学提要」「新勅法」の総称であり、これらは各々に特徴があるこ
とから、以下において個別に検討する。
①『勅法彙纂』(Codex)
528 年にグレゴリウス法書、ヘルモゲニアヌス法書、テオドシウス勅法彙纂、その後の勅法を材料に、矛盾や重
複を除き、使用に堪えないものを削除したものである。529 年の旧勅法彙纂が公布され、534 年には旧勅法彙纂
~学説彙纂の間に多くの勅法を加えた『...