いわゆる「近代市民法」について論じなさい。
合格レポート
法学
設問:いわゆる「近代市民法」について論じなさい。
1)近代市民法は、すべての者が対等であり、いかなる契約も自由であったため、資本主義社会に適
合的な法であるが、資本主義経済の発展に伴って修正された経緯がある。そこで、近代市民法の前提
とした原則及びその社会法的修正の経過について検討する。
2)19世紀の隆盛した法実証主義は、実定法の自足完結性の法的世界観に立ち、自然法などの実定法
以外の規範を法的対象から排除する立場である。これは経済活動の予測可能性や権力の恣意的発動の
抑止を可能とする実定法が要請される安定期の近代社会の要請に応えるものであった。
このような社会状況を背景にして1804年に公布されたフランス民法は、近代市民法の範といえるも
のであり、以下の3つを原則としていた。
①所有権絶対の原則
自己財産である以上、自由かつ全面的に使用、収益、処分を為し得るという原則である。有産市民
階級中心の資本制社会である近代市民社会では、生産手段の私的所有の保障である所有権絶対の原則
が、資本主義と自由主義市民社会の発展に大きく寄与した。
②契約自由の原則
契約の相手・内容・目的・...