連関資料 :: 不能犯

資料:6件

  • 不能
  • はじめに  不能犯に関する現在の通説である具体的危険説は、以前からその問題性を指摘され続けてきたが、その批判者である客観的危険説は、判断基準として採用するにはあまりに不明確であったために、具体的危険説の優位を崩せずにいた。しかし、ここにきて、その内容を明確化しようとする動きが盛んになってきている。本稿は、まず、具体的危険説の問題点を検討し、次いで、客観的危険説の諸説を検討し、最後に主体の不能と警官ピストル事例を取り上げる。 具体的危険説の問題点  第一に、この説は、法益侵害の危険を処罰するものではなく、行為者の意思を処罰しているのではないかという疑いがある。例えば、精巧な人形を人であると誤信して銃を撃った場合、この説によれば、一般人もその人形を人であると誤信するような状況であれば、殺人未遂が成立する(1)。しかし、この場合には、法益侵害の危険は全く発生していないのである。そうだとすると、「今日においては刑法における客観主義的見解により主観主義的なそれが克服された」(2)とは言えないのではないだろうか。  第二に、この説では危険判断を一般人を基準に行うために、不合理な結論に至る。まず、一般人が危険を感じれば、科学的に見て結果の発生が絶対にありえない場合にも、未遂犯となる。例えば、一般人がAという薬品を人に飲ませることが危険だと思えば、科学的に見てその薬品では人が死ぬことはないとしても、殺人未遂が成立する。さらに問題なのは、一般人の科学的知識が増大した場合には、不能犯となることである。ということは、ある薬品に対する知見が、何らかのきっかけで1年で広まったような場合には、わずか1年で同じ行為が、未遂犯から不能犯になってしまうのである(3)。
  • レポート 法学 刑法 不能犯 刑法総論 犯罪論 未遂
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  • 第23回:不能
  • 第23回  レポート課題   「不能犯」  未遂犯と不能犯を区別するための判断資料及び判断基準を以下に記す。まず、私は判断基準として行為無価値論を支持する。それは客観事実の存在は確かに大変重要である。しかし、それ以上に、行為そのものの法的違反性・反規範性に重点を置く必要があると考えるからである。このことから、結果発生が、行為の違法性を阻却するほどの意味を持たない限り、行為時点での違法性を優先させ、未遂犯と判断すべきと考える。また、行為そのものの違法性を判断する知識基準としては、一般人が相応に有している知識を基準とすることが妥当と考えられる。これらの基準
  • 違法性 知識 判断 未遂 不能犯 基準 未遂犯
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  • 刑法総論 犯罪論『未遂不能
  • 1 刑法総論 犯罪論-未遂犯 不能犯 課題)不能犯と未遂犯の区別について述べなさい。 1.意義 不能犯とは、行為者としては犯罪の実行をしたつもりであったが、結果の発生が不能で あるためこれを遂げないもので、法益侵害の危険が全くないことをもって未遂犯としても 処罰されないものを言う。不能犯は、人を呪い殺そうとして呪文を唱えるというような場 合があたる。そのような行為は、人の死亡を惹起するのに十分な、客観的に危険な行為を 予定する殺人罪の構成要件に該当せず、殺人の実行に着手したとはいえないので、未遂犯 としても処罰することはできないわけである。 不能犯と似たものに、幻覚犯がある。不能犯は行為者の表象した内容が真実であった時 には犯罪を構成するのに対し、幻覚犯は表象内容がそもそも罪とならない事実であるため、 たとえ行為者がこれを罪となるものと誤信していても犯罪を構成しない場合である。例え ば、姦通は犯罪であると誤信して姦通しても、姦通罪は廃止されているので、現行刑法上 問題とならない。 2.未遂犯の処罰根拠 不能犯は、未遂犯すら成立しない場合であり、この意味で、不能犯の判断基準を問うこ とは未遂犯の処罰根拠を問うことに他ならない。この問題は、犯罪および違法性の本質に 遡って議論する必要がある。犯罪の本質を外部的な行為ないし結果に求める客観主義は行 為の危険性を問題とし、犯罪の本質を行為者の犯罪行為を行うであろう危険性に求められ る主観主義は、行為者の危険性を問題とする。前者によって不能犯とされるほとんどの事 例は、後者によれば未遂犯となる。しかし、主観主義理論は、現在ではほとんど支持を失 い、客観主義の理論が通説となっている。そして、現在では客観主義理論を前提として、 違法性の本質に関して行為無価値論と結果無価値論が対立している。前者は刑法の行為規 範性を重視し、後者は刑法の裁判規範性を重視しているといえる。それゆえ、不能犯と未 遂犯の区別に関し、前者は『行為当時に一般人ならば認識し得た事情および行為者が認識 していた事情を基礎として、一般人が結果発生の危険性を感じるか否かで区別する』見解 と、後者は『行為当時に存在したすべての客観的事情を基礎として、一般人が結果発生の 危険を感じるか否かで区別する』見解とそれぞれ結びつきやすいといえよう。 2 3.不能犯と未遂犯の区別 不可罰の不能犯と可罰の未遂犯との区別については学説の対立がある。 学説には大別して、主観説、法律的不能説、危険説があり、危険説はさらに抽象的危険 説、具体的危険説、客観的危険説に分かれる。 (1)主観説 主観説は、行為者に犯意があり、それを実現しようとする行為があるときには未遂犯を 認める学説である。これに従えば、砂糖で人が殺せると誤信して殺意をもって人に砂糖を 飲ませたような場合にも未遂犯が成立する。ただし、「丑の刻参り」のように、超自然的力 に依拠して犯意を実現しようとするような迷信犯については刑法犯として評価すべきでな いとの理由から不能犯が成立するとされる。これは、主観主義刑法理論から主張されるも ので、現在では主張者はいない。 (2)法律的不能説 法律的不能説は、犯罪構成要件に該当する事実の欠缺に由来する場合を不能犯とし、宋 でない場合を未遂犯とする説である。この見解によれば、犯罪主体、客体、手段、行為状 況などが存在しないのに誤信して行為した場合には不能犯が成立することになる。この説 に従えば、財布をすろうとポケットに手を入れたが、財布が入って
  • 不能犯 不可罰 未遂犯 迷信犯 具体的危険説
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