問:甲は乙に対して殺人の故意でピストルを発砲したところ、乙の肩を貫通し、そこを通りがかった丙に命中し死亡させた。
具体的事実の錯誤(数故意犯説)
問:甲は乙に対して殺人の故意でピストルを発砲したところ、乙の肩を貫通し、そこを通りがかった丙に命中し死亡させた。
1、本問において、甲は乙に殺害の故意でピストルを発砲し、乙に重症を負わせ丙も殺害するに至っている。そこで、乙に対する殺人未遂(199条、203条)が成立するとしても、丙の死亡という結果については認識していなかったのであるから、甲の丙に対する殺人罪の故意(38条1項)が認められるかが問題となる。
2、この点、故意を認めるためには、行為者の表象するところと現実に発生したところが、具体的に符合することが必要である(具体的符合説)とし、乙に対する殺人未遂...