いわゆる租税法律主義(憲法84条)は国民健康保険料にも適用されるか、最高裁判所大法廷判決(平成18年3月1日)を参照した上、検討せよ。(2011年度第4課題、評価C)
1、財政立憲主義
まず始めに、憲法第84条租税法律主義が問題となるが、その前提として、国がその任務を行うための財力を入手・管理・使用することを財政といい、この処理は行政作用である。しかし、国民生活に重大な影響を及ぼす不当な負担を被ることがないように民主的コントロールの下、国民の権利を守らなければならない。そこで憲法第83条では「財政立憲主義」、「財政国会中心主義」を宣言し、憲法第84条以下で、それを具体化している。
2、租税法律主義
憲法第84条の租税法律主義では、租税の賦課および変更は法律によらなければならないとし、憲法第30条でも国民に納税の義務を課している。また、これは租税が国民の財産権(憲法第29条1項)に対する重大な制約になることから、租税に関する事項は国民の代表たる国会の議決によるものとして、民主的コントロールを図り、行政権の恣意的な課税を防止しようとするものである。
この租税法律主義の主な内容として①課税要件と賦課・徴収手続等が法律で定められなければならないとする「課税要件法定主義」と②課税要件および賦課・徴収手続等の定めは、一義的かつ明確な内容でなければな...