遠藤周作『沈黙』をよんで

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    資料紹介

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    これはポルトガルからやってきた布教師ロドリゴの信仰の変質の物語ではなかったかと思う。江戸時代鎖国下、先に不況へ日本へ行ったフェレイラが棄教したという噂を聞いてロドリゴはその目でそれを確かめるまで信じられなかった。もしそれが本当だとしたらフェレイラは屈辱的敗北をしたのだろうと彼は予測していた。ヨーロッパ人にとって文化を理解されない、受け入れられないということは彼らにとって敗北を意味している。あるいは理解できないことを排他的に見る趣がある。ロドリゴも当初はそのような気持で日本布教に臨んだのかもしれない。
    果たして日本布教への道が開かれた。しかしキリスト教禁止の時代に日本に渡ることは、二度と本国へ戻れない可能性が高いことをも意味していた。それでも自分がやらねばならぬという誇りがロドリゴにはあったことだろう。彼の運命は一人の日本人、キチジローに委ねられた。彼は気が弱く、強い者から見れば卑怯者でもあった。ロドリゴはこの日本人に何度も助けられては裏切られる。キチジローの存在はキリストとともにありまた彼を裏切ったユダの存在に重ねられた。前に進むためには重ねるよりほかなかったのかもしれない。
    ロド...

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