1.総論
(1)許認可とは、国民が法令に基づいて行政庁に許認可を求め、行政庁が認否の応答をすることによって行われる処分をいい(行政手続法2条3号)、不利益処分とは、行政庁が法令に基づき特定の者を名宛人として、一方的に不利益を与える処分をいう(2条4号)。
(2)国民が行政に対して許認可を求めて申請を行った場合に、応答の留保や申請書の返戻といった公平や透明性を欠く手続を行政庁に認めると、国民の申請に係る権利利益が確保できなくなる。
また、国民が不利益処分を受ける場合においても、国民の権利利益が侵害されることになるため、相手方に対して、聴聞・弁論等の反論防御の機会を与え、相手方の権利手利益の手続保障を確保させる必要がある。
この点、瑕疵ある行政手続によってなされた違法な行政作用に対しては、国民は事後的救済を求めることもできるが、事後的救済では、必ずしも以前の状態に回復できるわけではないため、国民の権利利益の保護には限界があった。
そこで、許認可や不利益処分といった行政手続の適正を図ることによって、行政運営を公正と透明性を確保し、国民の権利利益を保護するべく、行政手続法が定められた。次に、許...