民事訴訟法において証人が追う一般義務の内容について
民事訴訟法190条は、わが国の裁判権に服するものは、等しく証人として証言をなす義務を負う旨規定する。これは、真実発見にもとづく紛争解決制度としての民事訴訟を適正に運営するために、真実発見に資する証言を公法上の義務として一般国民に課したものである。証人義務の内容は、出頭義務・証言義務・宣誓義務の3つによって構成される。
(1)出頭義務
出頭義務は、裁判所による証人としての出頭呼び出しの効果として、発生する義務である。出頭義務を民事訴訟法上明文化した規定はないが、不出頭の制裁・義務の強制(192-194条)の規定は出頭義務を当然の前提としている。
(2)証言義務
証言義務は、尋問された事項を良心にしたがって真実を述べ、かつ、何事も隠さず、また付け加えないことを内容とする義務である。
しかし、人倫上の価値、職務上の守秘義務、技術又は職業上の利益を保護する必要がある場合には、民事訴訟法は、証言拒絶権を認めている。すなわち、①証言が、証人又は196条各号に掲げる者が刑事上の訴追又は有罪判決を受けるおそれがある事項に関するとき(196条)、②証...