株式会社における資金調達
株式会社は、企業規模の拡大や損失の補填等のため、社外から資金を調達することが必要となるケースが多い。
そのための資金調達手段として、①募集株式の交付、②新株予約権の発行、③金銭消費貸借、④社債の発行がある。
株式会社は、これらの資金調達の結果、資金拠出者に対して一定の権利を付与することとなるが、その権利の性質や程度によっては、既存の株主や債権者の利益を直接的・間接的に侵害することとなる。
そこで、会社法は、株式会社が取りうる資金調達手段に応じて様々な制度を定めている。
2.資金調達手段としての株式会社制度
(1)募集株式の交付
株式会社は、具体的な資金需要に応じて、設立後に新たな株式を発行することにより、資金調達を行うことが可能である。
一方、新たな株式の発行は、既存株主に対して悪影響を与える恐れがある。すなわち、①既存株主の持分比率の減少、②既存株主の株式の経済的価値の希釈化である。そこで、会社法は、既存株主と新株主との利益を調整するため、次のような制度を規定する。
(ⅰ)発行株式総数
株式会社は、定款で定めた発行可能株式総数(37条1項、98条...